オン ザ ソファ

一人きりで暮らしているから、どうでもいいことを聞いてほしい

結婚の限界

話は引き続き、結婚の限界についてである。

前回は結婚の限界について考えるにあたり社会制度だとか子供だとかの切り口から入っていって失敗したので、今度は配偶者の切り口から入っていこうと思う。

ここからは世間一般とか関係なく私が結婚するなら、という体で話を進めていく。そして配偶者のモデルには、申し訳ないが一旦元恋人を引っ張り出すことにする。彼はあずかり知らないことだろうけれど、一応謝っておこう。

私は元恋人と交際している当時、彼と結婚したらどうなるか?という想像を何回かしていた。

想像上は、そう悪くなかった。交際は順調に続いて私29歳・彼28歳、彼が博士号を取得して就職も決まり、あと1,2年で結婚かな?と考えていたある日、突如彼から衝撃の告白が!「ごめん。別れてくれないか」訊けば、大学だか住んでいる寮だかで知り合った20歳~22歳の白くてふわふわ現役女子大生と恋愛関係にあり、彼女の卒業を待ってから結婚するつもりとのこと。内心怒り狂いつつも為す術のないことを悟った私は物わかりの良いフリで早々に彼のもとを去り、自宅でひとしきりキレて暴れて泣き叫んでから我に返り、自分と同様に結婚しなさそうな友人たちに手当たり次第ルームシェアを持ちかける―――――といった内容である。結婚生活といったが、思い返すと意外にも結婚まで行っていなかった。しかも全然悪くなくない。

上の想像は一旦なかったことにして、単刀直入に今回私が伝えたいことを言うと、要は「恋愛関係をずっと続けてくのって無理じゃない?」と言うことである。これだけ時間をかけて月並みな言葉しか出てこなかったことには自分自身失望せざるを得ないが、それはそれとして話を続ける。

私が結婚するとしたら多分、相手と上手くやっていけるか以外に、相手を恋愛的に好きかどうかも考慮に入れるだろう。これは専業主婦願望がなく、子供がそれほど欲しいわけでもない私にとってはとても大切な要素だ。

恋愛感情は非常に特殊で、強い感情である。麻雀の役に喩えるなら、揃えるのがまぁまぁ簡単なわりにそれだけで40万点くらい入っちゃうような、魔法の役だ。しかし問題は、その魔法効果がけして永続的でないというところである。

唐突だが私の大学院時代の友人に、金銭感覚や生活スタイル、食事や家事に対するこだわりがある程度合いそうな人がいる。彼女は幸せそうな時の顔がビスカッチャ(南米原産のチンチラの仲間)に似ているので、ビスカちゃんと呼ぶ。ビスカちゃんと遊ぶのは楽しい。同性同年代の友達でも1 : 1で遊ぶのはなかなかハードルが高いことだと思うが、彼女とは全く問題ない。共通の話題や趣味があり、毎度何を話しているのか詳しくは覚えていないが、遊んだときは二人してよく笑っている。

一方で、元恋人はどうだっただろう。性格やその他の基本的な感覚に大きな摩擦はなかったが、彼との交際中、「もし恋愛感情がなかった場合、私たちはお互いを遊び相手に選んだだろうか?」と考えることがよくあった。元恋人との交際がつまらなかったと言いたいわけではない。短い間だったが彼との交際期間はとても楽しかった。他では味わえない気分の高揚を感じることが出来た。彼が私にとってとても魅力的であったことは否定しようもない。しかし恋人ではなく単なる友人として見た場合に、彼がビスカちゃんよりも一緒にいて楽しい相手だったかというと、そうではなかったと思うのだ。

上の想像でもわかるとおり私は、元恋人が“恋愛感情を持てなくなった私”とは結婚しないと予測していた。多分それは、私自身が同じ行動を取るから考えついたことだ。多分私にとって、(元恋人に限らず)恋愛感情を差し引いた恋人は所詮親友の下位互換に過ぎないのだ。

もちろん相思相愛の状態で結婚してそのまま添い遂げることは理想的であるが、前提にしてはいけない。必ずいつかはどちらか、あるいは両方の愛情が冷める。しかしもしかすると、多くの場合、互いの恋愛感情が冷めても結婚生活というのは上手くいくのかもしれない。というかそれが一般的な夫婦の形なのかもしれない。ただ私は、自分自身がその一般的な形に収まることができるか、その自信がどうしても持てない。

自分で言うのも何だが、私は男性の趣味が多少変わっている。具体的に言うと色々な人に対し失礼になるので適当にぼかすが、思ったより性格が子供っぽくてちょこちょこダサいとか、こっちの興味に関係なく自分の得意分野について語り出すとか、そういうタイプによく惹かれるのだ。理由は自分でもわからないが、そういう傾向がある。

好きでいるうちは相手のそういう部分を「かわいい」と楽しんでいられるのだが、多分こういうタイプの人は、好きでなくなったとき、一緒にいるのがわりとしんどいと思うのだ。さっきの麻雀の喩えで言うと、さっきまで40万点以上あった点棒がいつの間にか1800点くらいになっている感じだ。しんどい。

子供がいなければ、結婚していようがいまいがとっとと別れれば良いのだが、子供がいる場合はそうもいかない。親権の問題とかも多分面倒だし、子供が離婚についてどう感じるかもわからない。しかし両親の仲が悪い家で居心地の悪い思いをさせるのはかわいそうだ…等々、考えただけで面倒くさい。皮算用だけでこれだけ面倒なんだから、この懸念が現実になったらと思うと気が遠くなる。

「せめて結婚を考えるような恋人ができてから悩めば?」という意見もわかるが、これについては若くて元気で時間があるうちにある程度考えておかなければならない気がするのだ。事前に方針を固めておけば、有事の際にも身の振り方を決めやすい。

 

まとめると、私にとって結婚の限界とは、「恋愛感情があってこそ成り立つものだけど恋愛感情って絶対なくなるしそうなったときの処理がダルい」である。

主語と述語が合ってない感じがするが、これ以上煮詰めるのもダルいし、今のところは大体こんな感じだ。てかもう、好きってだけで他人と2人で住むのなんか土台無理な話なのだ。夢を見るな!妙な期待をするな!お前の彼氏は結婚したって家事も子育ても他人事で全然優しくならないし、彼女はゴリゴリ老けて今にお前を邪険にし始めるぞ。

恋愛が楽しいのは間違いないが、その延長線上に結婚を置いてしまうと良くないことになる。結婚とはそもそも恋愛から成ることを前提に作られた制度ではないからだ。

もう長くなりすぎているので、一旦切ってまた次回に続きを話そうと思う。

 

こんな長くて無益な話にだって、シュレディンガーの聞き手は常に50%存在していてくれるのだからありがたい。おかげで、いつも気後れすることなく続きを用意することが出来るのだ。